特集 検診を検診する
癌検診の有用性の評価
大島 明
1
1大阪府立成人病センター調査部
pp.251-254
発行日 1997年4月15日
Published Date 1997/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901671
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わが国では多くの部位の癌検診が地域や職域において熱心に実施されている.「癌予防の決め手は早期発見・早期治療」との考えが,公衆衛生や医療の現場の関係者だけでなく,一般の人々にも定着しているといえる.このような状況の中で,「がん検診,百害あって一利なし」とか「それでもがん検診うけますか」,「患者よ,がんと闘うな」とする一連の近藤誠氏の主張は極めて重要な問題提起である.単にこれを異端の発言として無視したり,感情的,情緒的に反応して「近藤たたき」を行いさえすれば,それでこれまでの癌検診一辺倒路線の正当性が保証されるということには,決してならない.
わが国において広く実施されている癌検診が所期の,癌死亡率減少の成果をあげているか否かには,理想的な条件の下での癌検診の有効性,すなわち効能(efficacy)と,癌検診の受診率,スクリーニングテストの診断精度,精検受診率などの要因が影響を及ぼす.本論文では,これらの要因の中で最も重要な癌検診の効能を中心に,癌検診の有効性の評価についての国内外の研究成果を簡単にレビューして,わが国の癌検診の問題点を検討する.
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