特集 前立腺肥大症(BPH)薬物治療のニューノーマル―“とりあえず”ではなくベストな処方を目指して
企画にあたって
橘田 岳也
1
1北海道大学大学院医学研究院泌尿器科総合地域医療システム学分野
pp.475
発行日 2021年6月20日
Published Date 2021/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413207264
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前立腺に特異的なα1遮断薬が開発された当初は,劇的に手術療法が減少するというパラダイムシフトが起きましたが,当時の泌尿器科医は,治療の個別化をするほどの多数の武器(処方)を持ち合わせていませんでした.しかし,21世紀に入り,泌尿器科領域の薬物治療の進歩は目覚ましく,多くの種類の薬剤の上市,さらに併用療法の有用性のエビデンスが蓄積されてきています.これはすなわち,患者さんの個別化医療を見据えた処方が可能となってきているといっても過言ではありません.
前立腺肥大症(BPH)は,QOL疾患であるととらえることが可能です.そのため,治療後のQOLを勘案することは必須といえます.実臨床の処方の際には,合併する下部尿路症状である過活動膀胱(OAB)に加えて,性機能障害も勘案する必要があります.さらに,高齢の患者さんが多いことから,治療に対する副作用を管理しつつ,QOLを維持することもまた重要です.患者さんごとに病態はさまざまで,それぞれにとってベストな処方を行うという,まさにBPH薬物治療のニューノーマルが求められています.
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