特集 もう悩まない ぶどう膜炎の診断と治療—達人の診療プロセスを教えます
企画にあたって
水木 信久
1
1横浜市立大学医学部眼科学教室
pp.21
発行日 2021年1月15日
Published Date 2021/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213872
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ぶどう膜の炎症はぶどう膜のみに限局せず,近接した眼組織(網膜,強膜,角膜,視神経など)に波及している場合も多く,不可逆的な視力障害をきたすことがあります。ぶどう膜炎の原因は多岐にわたり,一言でぶどう膜炎と言っても,わかっているだけで30種類以上の疾患が存在します。アナムネーゼ,症状,所見,検査データなどから,しっかりと確定診断できるぶどう膜炎も多く存在し,このような疾患は速やかに的確な診断をして,適切な治療を施さなければなりません。そのような意味で,教科書的な典型的な症状や所見,検査データなどの基礎知識をしっかりと習得しておく必要があります。
一方で,ぶどう膜炎の症状や所見は非特異的な似たようなものが多く,診断に苦慮することも少なくありません。これら非特異的な炎症所見のなかから,可能性のあるいくつかの鑑別疾患を想定してさまざまな検査を進めていきますが,非典型的で診断基準を満たさず,最終的に確定診断に至らない疑い例や原因がはっきりとしない原因不明のぶどう膜炎も少なからず存在します。しかし,実際の診療の場では,診断が確定しなくても,目の前の患者の現在の状況において,できる限り最善の治療を行わなければなりません。治療を進めていくうちに想定外の経過や診断に至り,治療の方向性が違っていたなどということも時に経験することです。
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