特集 Nicheな前立腺炎の全容に迫る!
企画にあたって
和田 耕一郎
1,2
1岡山大学病院泌尿器科
2現籍 東京女子医科大学病院泌尿器科 腎臓病総合医療センター
pp.879
発行日 2019年11月20日
Published Date 2019/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206747
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「前立腺炎」と聞いて,どんな印象をお持ちだろうか.悪性腫瘍や尿路結石など,手術を中心とする疾患を診る頻度の高い泌尿器科医にとっては,「面倒な疾患」という印象が強いのではないか.それは,「前立腺炎」が細菌感染症と,感染症としては説明できない慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群(chronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome : CP/CPPS)からなっているためであり,後者は症候群という概念的な疾患単位でつかみどころがないためであろう.さらに,CP/CPPSにおける疾患特異的な病態解明や治療の確立が大きく進んではおらず,慢性,難治性の疾患であることが大きな要因と考えられる.本特集を立案するにあたり,これまでの総まとめといっても過言ではない,網羅的でかつ新しい知見を盛り込んだ解説を著者の先生方にお願いした.
本特集では,まず基本となる前立腺炎の分類と現状の鑑別方法についておさらいし,主に頻度の高い細菌性前立腺炎とCP/CPPSについて解説していただいた.診断や治療法がほぼ確立している細菌性前立腺炎については,耐性菌対策や排尿障害に対するマネジメントが重要な一般細菌による前立腺炎に加え,比較的報告が少ない性感染症としての前立腺炎について項目を新たに設けた.外来診療において最も悩ましい疾患の1つであるCP/CPPSについては,診断や治療のほかに症状ドメインの分類や診療ガイドラインが存在する欧米の動向,さらに現在行われている基礎研究や最新の臨床データに関する項目を設け,解説していただくよう依頼した.
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