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編集後記
大家 基嗣
pp.588
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206685
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本誌2019年4月号の編集後記で若い女性の気分の振れ幅について書かせていただきました.男性はどうでしょうか? もちろん男性でも気分の上下はあるでしょう.しかし,男性の場合はhighなヒトはいつもhighだし,lowなヒトはいつもlowな気がします.4月号では女性が主人公の映画でしたので,今回は男性が主人公の映画を取り上げてこのあたりの事情を探ってみます.
今回取り上げるのは『ブラック・クランズマン』という実話に基づいたスパイク・リー監督の作品です.舞台は1970年代半ばのコロラド・スプリングス.この街で初めて黒人で採用された刑事が主人公です.白人刑事からの差別を受けながら,潜入捜査官になりたいと希望を出します.白人至上主義を掲げる秘密結社KKK,あるいは黒人の一致団結を呼びかけ白人に対抗するブラックパンサー党の集会が捜査の対象です.常にハイテンションの黒人刑事はいきなりKKKに電話し,最高幹部と会う約束をします.もちろん黒人の彼は会えませんので,成りすましとして同じ部署の白人刑事に白羽の矢が立ちます.彼は常にローテンションでポーカーフェイス.このコントラストが絶妙でした.テーマは重いのですが,風刺が効いた最高のエンターテイメント作品だと思いました.今年のアカデミー賞の作品賞にノミネートされたのですが,惜しくも受賞を逃しました.
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