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編集後記
大家 基嗣
pp.370
発行日 2017年4月20日
Published Date 2017/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206014
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55分にわたる講演後に拍手はおさまらず,どのタイミングで話を切り出していいか戸惑いました.学会の座長をしていてこのような経験は初めてでした.会場を埋め尽くした聴衆は講演の終了を名残惜しむように,なかには両手をかかげて拍手をされている方もいました.仲谷達也教授(大阪市立大学)が会長を務められた第30回日本泌尿器内視鏡学会総会の特別企画「プレゼンテーションの極意」で,井上貴昭先生(関西医科大学)が講演をされたときの出来事です.プレゼンを「見せる」(魅せる)ためのテクニックを余すことなく教えてくださいました.まずは講演を成功に導くために「戦法」を立てる.そして,プレゼン全体の流れには強弱をつけ,各パートのスライドを魅力的に作成するといった,実践的なテクニックを教えていただきました.
「プレゼン力は自らを助く」.私が教室員に対してしょっちゅう口にしている言葉です.ですから,座長を依頼されてとても嬉しかったです.人生あるいは自分を取り巻く社会を,自分側に引きつけるためにプレゼン力は重要です.講演にはテクニックが存在すると確信しています.弾丸のように早口で話をされるのに全く噛まない,名古屋市立大学の林裕太郎教授.にこりともせずにネタ話をされ,絶妙の間をとりつつ聴衆を魅了する川崎医科大学の永井敦教授.この二人に共通しているのは落語好きであることです.おそらく,しゃべりのテクニックを落語から盗んでいらっしゃるのではないかと,私は考えています.
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