特集 基礎から学ぶ下部尿路機能障害―苦手意識を克服しよう
企画にあたって
三井 貴彦
1
1山梨大学大学院総合研究部泌尿器科学
pp.171
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206494
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時間が経つのは早いもので,平成の時代も残りわずかとなりました.私が泌尿器科に入局した当時は,外来で膀胱内圧測定を専門で行う当番があり,新人医局員が順番で行っていました.最初は何もわからず,ただ膀胱内に生食を注入し,印刷されたデータを先輩の医師に手渡すだけでしたが,少しずつ慣れてくるとカルテに記載してある基礎疾患や症状と見比べながら,膀胱内の圧変化や患者さんの尿意などの訴え方の違い,さらに治療後の変化に驚いたことを記憶しています.
その後,過活動膀胱の概念の登場で,膀胱内圧測定をはじめとするウロダイナミクスの重要性が低くなり,ウロダイナミクスを行う泌尿器科医も減ってきていることかと思います.実際に,外来で膀胱内圧測定を行う係もなくなりました.そのため,ウロダイナミクスに触れる機会が減り,下部尿路機能障害について深く考える機会も以前と比べて減ったのではないかと感じています.その一方で,「下部尿路機能障害,ウロダイナミクスを泌尿器科医がきちんと理解しないとしたら,どの科の医師が診断するのだろうか?」という懸念もあります.もちろん,好き嫌いや得手不得手などありますので仕方ないとは思いますが,泌尿器科医としてぜひ知っておいていただきたい専門分野の1つだと思います.
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