特集 尿路結石に対する外科的治療─Stone free 100%を目指して
企画にあたって
奴田原 紀久雄
1
1杏林大学医学部泌尿器科学教室
pp.649
発行日 2017年8月20日
Published Date 2017/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413206071
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Campbell-Walshの教科書では,腎結石に対する外科的治療のゴールを「最小限の合併症で最大限の結石除去」としている.一方,尿管結石においては「最小限の合併症で完全な結石除去」をゴールとしている.腎結石の場合,stone freeにならなくても腎機能を温存ないし改善することが可能な場合があり,尿管結石ではstone freeにならない限り閉塞はとれず,腎機能の改善が望めないという背景がある.もちろん腎結石でもstone freeになることが理想であるが,そのために合併症,特に敗血症が増すようであれば無謀との批判を受ける可能性がある.
さて,さまざまな学問的知識の集積と,技術進歩,それに伴う手術手技の進歩が,ここ10〜20年の結石治療成績の向上を支えていることは明らかである.腎盂腎杯形状の理解は,奇しくも3Dプリンターの登場により術前シミュレーションを容易なものとし,術者個人の技術向上のみならず,診療チームの臨床能力の向上にも寄与している.感染症対策は結石がとれても腎機能が悪化していく原因の1つをどう取り除くかということに関係する.
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