増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
5 先天性および小児泌尿器科
ウィルムス腫瘍(腎芽腫)
北 雅史
1
,
柿崎 秀宏
1
,
更科 岳大
2
1旭川医科大学腎泌尿器外科学講座
2旭川医科大学小児科
pp.111-114
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205610
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疾患の概要
ウィルムス腫瘍(腎芽腫)は,小児腎腫瘍のなかで最も頻度の高い腫瘍である.米国では15歳未満の人口100万対7.6人に発生しており,診断時の年齢は3歳前後である.しかし,発生率には人種差があり,アジア人の罹患率は低い.約10%に多発奇形症候群を認める.鑑別疾患としては,腎明細胞肉腫や腎横紋筋肉腫様腫瘍,先天性間葉芽腎腫,腎細胞癌などが挙げられる.特異的な腫瘍マーカーはなく,画像診断により評価され,病理組織診にて確定診断を得る.
代表的な多施設共同研究として,米国のNWTS(National Wilms Tumor Study)と欧州のSIOP(International Society of Pediatric Oncology)があり,それぞれ病期分類や化学療法の位置づけに関して違いがある.日本においてはJWiTS(Japan Wilms Tumor Study)があり,NWTSに準じた治療を提唱している.治療にあたっては小児がん診療の経験が豊富な施設で行うべきである.
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