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ウィルムスの腫瘍
橋本 敬祐
1
1順大病理学
pp.848
発行日 1969年8月10日
Published Date 1969/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202746
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Max Wilms(1867-1918)はハイデルベルクの外科医であるが,かれの名でよばれるこの腫瘍は,小児の悪性腎腫瘍としてはほとんど唯一のもので,胎児性腺肉腫embryonal adenosarcoma,癌肉腫carcinosarcoma,腎芽腫nephroblastoma,胎児性腎腫瘍embryonic nephroma,腎混合腫瘍renal mixed tumorなどとよばれている.それは組織型に変化が多いことと,発生起源に関する意見がいまだ一定しないためのことであって,腫瘍としてはただ1種類のものである.6歳以下,特に2歳前後の男女にみられる.GarrettおよびMertz(1953)は過去25年間7万8961人の小児病院入院児中23例(0.29%)のウィルムス腫瘍をみたといい,Anderson(1951)は,15年間の小児悪性腫蕩170例中15例(8.8%のウィルムス腫瘍をみたという。Andersonの報告でほかに頻度の高いのは交感神経芽腫(30例),白血病(33例),軟部組織腫瘍(24例)くらいであったという.
腫瘍は腎のどの部位にも発生するが,ほとんど全部が偏側性であり,硬いことが多い.
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