特集 希少固形がんの診断と治療
Wilms腫瘍(腎芽腫)
大植 孝治
1
,
西塔 翔吾
1
,
樋渡 勝平
1
,
野瀬 聡子
1
Takaharu Oue
1
,
Shogo Saito
1
,
Shohei Hiwatashi
1
,
Satoko Nose
1
1兵庫医科大学小児外科
pp.899-902
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000552
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
Wilms腫瘍(腎芽腫)は小児期の腎臓に発生する代表的な小児悪性固形腫瘍であり,5~10%の症例で両側の腎臓に発生し,病期Vと分類される。両側性Wilms腫瘍の治療上の課題は,できるだけ多くの機能的腎組織を温存し,正常な成長発達に十分な腎機能を確保しつつ高い治癒率を達成することである。最も重大な術後合併症は末期腎不全(ESRD)で,腎組織を多く失った患者ほどESRDの発症率が高くなると考えられるため,腎全摘をできるだけ避け,可能であれば両側の腎温存手術(nephron sparing surgery:NSS)を行い,できるだけ多くの機能的腎組織を温存することが推奨される。そのための治療戦略として,①術前化学療法によりできるだけ腫瘍を縮小させ,②可能な限り腎を温存した手術を施行し,③腫瘍の組織型と術後の病期分類に応じた術後化学療法を施行するのが治療の原則である。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.