増刊号特集 泌尿器科処方のすべて─すぐに使える実践ガイド
5 先天性および小児泌尿器科
小児尿失禁・過活動膀胱
北 雅史
1
,
柿崎 秀宏
1
1旭川医科大学腎泌尿器外科学講座
pp.108-110
発行日 2016年4月5日
Published Date 2016/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205609
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疾患の概要
小児の尿失禁にはさまざまな要因があり,低活動膀胱による溢流性尿失禁や,尿管異所開口による尿管性尿失禁などは,自己導尿や手術的治療などの積極的治療介入が必要となる.本稿では,薬物療法が主体となる過活動膀胱に焦点をあて解説する.
小児過活動膀胱の定義は定まったものはないが,ICCS(international children's continence society)によれば,尿意切迫感を伴い,通常頻尿と夜尿を伴うものであり,切迫性尿失禁の有無は問わないとされている.小児過活動膀胱においては,年齢とともに自然治癒する症例も多く,健常児の成長過程の一部をみている可能性もある一方,排尿を過度に我慢するvoiding postponementに伴う切迫感といった排尿習慣が原因となるものや,dysfunctional voidingに合併する過活動膀胱(non-neurogenic bladder-sphincter dysfunction)といった蓄尿相のみならず排尿相における異常の原因もしくは結果と解釈できる病態も存在し,定義は同じでも成人の過活動膀胱とは異なった視点が必要となる.
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