今月の臨床 Urogynecology
尿失禁の診断と検査 : 過活動膀胱と腹圧性尿失禁
加藤 久美子
1
,
鈴木 弘一
1
,
村瀬 達良
1
1名古屋第一赤十字病院泌尿器科
pp.772-777
発行日 2004年6月10日
Published Date 2004/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100537
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はじめに
女性の尿失禁保有率は尿失禁の定義や調査法によって大きな幅が出るが,大勢として,生殖期を通じての増加で45~55歳でいったんピークになり(30~40%),停滞ないし微減して高齢層で再び増加する(30~50%)と考えられている1).症状症候群として過活動膀胱を定義する動き2),腹圧性尿失禁に対するTVT手術の普及3)が追い風となって,女性泌尿器科(female urology,urogynecology)の分野は本邦でも泌尿器科,産婦人科の双方で成長しつつある.
女性尿失禁の多くは,問診で尿意を我慢できずに漏れる切迫性尿失禁か,咳や運動で腹圧がかかると漏れる腹圧性尿失禁かに分け,基本的検査で診療方針を立てることができる.瘻孔や神経疾患の初発症状が排尿障害である場合など診断に難渋し,また子宮癌治療後の排尿障害も産婦人科領域で大切であるが4),本稿は過活動膀胱と腹圧性尿失禁の実践的な診断に絞って述べる.
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