特集 ここが知りたい! 筋層非浸潤性膀胱癌─エキスパートが答える日常診療の疑問点
企画にあたって
西山 博之
1
1筑波大学医学医療系腎泌尿器外科学分野
pp.115
発行日 2016年2月20日
Published Date 2016/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413205538
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
膀胱癌は,われわれ泌尿器科医が遭遇する最も頻度の高い悪性腫瘍の1つです.膀胱癌の診断や治療に関して多くのエビデンスが蓄積されるなかで,診断および治療の指針としてEAUガイドライン,NCCNガイドライン,そして日本泌尿器科学会が主導で作成している膀胱癌診療ガイドラインがあります.しかし,欧米のガイドラインと内容的に異なる部分もあり,膀胱癌の診断と治療においては日常診療上多くの疑問を感じておられる先生方も多いかと思われます.
筋層非浸潤性膀胱癌(non-muscle invasive bladder cancer : NMIBC)に焦点をしぼって考えると,一般に治療方針は,膀胱内再発,進展のリスク,病理診断などに応じて推奨されています.しかし,各ガイドラインを比較すると,リスク分類はそれぞれ異なりますし,EAUガイドラインでは毎年更新されるなかで変化してきております.また,膀胱内再発や進展のリスク自体が,2nd-TURの有無や膀胱内注入療法の有無などの治療内容により大きく影響されます.さらに,リスク分類の基礎となる病理診断自体の問題として,T1症例に対する2nd-TURの病理結果を用いたサブ分類や上皮内癌の診断のための生検の適応,grade分類の問題なども看過できません.ほかにも,高リスクNMIBCに対してはBCG膀胱内注入療法,特に維持療法が推奨されるようになってきましたが,副作用の問題もありますし,BCG膀胱内注入療法後の再発症例ではどのような場合に膀胱全摘が必要になるかなど,悩みは尽きません.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.