交見室
非セミノーマ性睾丸腫瘍について/前立腺原発が疑われた両側転移性乳腺腫瘍
河合 恒雄
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1癌研付属病院泌尿器科
pp.734-735
発行日 1987年8月20日
Published Date 1987/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204559
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「非セミノーマ性睾丸腫瘍の最近の治療成績」(臨泌41巻6号近藤先生ら)を興味深く拝読致しました。第1表のothersを明確にして頂けたら幸いです。症例の重複がないようですから,複合型のなかにE,C,Yの組み合わせがないように思われます。あるとすればどのように分類されましたか。また第1表は病理診断ですから,AFP陽性でも組織学的にyolk sac tumor(Y)が証明されない時はYと診断されないのは当然です。転移巣の診断がないからYが少ないのでしようか。藍沢教授のご意見によれば胎児性癌にはAFP産生能力がなく,たとえ組織学的にYが証明されなくてもAFP陽性の時は臨床的にはYありと判断すべきとのことです。このご意見に小生は賛成ですが,実際問題としていざ組織型決定の時そこまで割り切れないのが現状だと思います。現に本論文においても然り。この点はまだ議論の多いところですからあえて筆者のお考えもお聞きしたいのです。この問題を明らかにするために組織診断にYがなくてAFP陽性の時は組織診断名の末尾に(AFP陽性)とつけ加えるのも一法です。仮にセミノーマでAFP陽性ならば,非セミノーマとなると思います。組織型とhCGとの関係も知りたいところです。睾丸腫瘍の病理組織診断はとくに難しいので臨床と病理の情報交換を絶えず行い問題解決の努力をする必要がありましよう。
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