交見室
膀胱頸部硬化症に対する経尿道的膀胱頸部切開術について/前立腺原発が疑われた両側転移性乳腺腫瘍
山口 秋人
1
1三信会原病院泌尿器科
pp.544-545
発行日 1987年6月20日
Published Date 1987/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204519
- 有料閲覧
- 文献概要
本誌第41巻2号にて瀬川先生の「膀胱頸部硬化症に対する経尿道的膀胱頸部切開術の検討」を興味深く拝読いたしました。いわゆる膀胱頸部硬化症はその定義と同様に診断や治療に悩みが多いようです。診断については私達も排尿時の膀胱尿道撮影を重視していますが,原則としてレントゲン透視下に行つています.撮影されたフィルムだけで判断するとタイミングが悪い場合に間違う可能性が大きくなります。治療では前立腺肥大症を合併するものの腫大が著明でない場合が特に問題となります。trapped prostateと呼ばれるように,ついだまされてTURを行うと症状は経尿道的膀胱頸部切開術(TUIBN)とTURのいずれを行おうと改善するのですが,長期にわたつて観察してみると二次的な膀胱頸部硬化症の合併が多いようです。このような場合には,TUIBNを施行してみて治療前後に膀胱内を灌流液で満たした状態で下腹部の膀胱部を手で押して灌流液の飛び出し方の変化を見てみます。これで十分な改善が認められた場合にはTURは施行しませんが,改善が悪かつた場合には膀胱頸部を深く切除しないようにしてTURを行うようにしています。私達も本誌第39巻11号にて示しましたように,1,630例の前立腺TUR施行例中に膀胱頸部硬化症を合併した16例を分析した結果も同様でした。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.