Urological Letter
腎盂腫瘍と下部尿路腫瘍の保存的手術/尿管鏡—膀胱ドレナージの問題
pp.281,324
発行日 1986年4月20日
Published Date 1986/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204249
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腎盂と下部尿管の移行上皮腫瘍は稀な疾患であり,標準的治療は尿管口周囲の膀胱壁切除を含めた腎・尿管の全摘出術である。しかし近年,ことに下部尿管腫瘍に対しては保存的手術を要求する報告がいくつか出てきた。これらの腫瘍の大部分は悪性度が低く,膀胱腫瘍とくらべると生物学的性質が違つているのかも知れない。腫瘍の発生は切除線よりも低い位置に高率に起こるので,下部の尿管を切除し再移植することは腫瘍の再発傾向を除くことになる。
筆者らの例は下部尿管腫瘍の3例と腎盂と膀胱に同時に腫瘍のあつた1例であるが,それらの経験を述べよう。3例は全部単独の腫瘍で,通常そうであるようにグレードもステージも低いものだつた。術後3年から5年後の今日,局所にも膀胱にも再発はしていない。これらは低ステージだつたが,恐らく早期に症状が出たこと,および早期に発見されたことによるものであろう。
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