Urological Letter・403
腎盂と下部尿管腫瘍の保存的手術
pp.29
発行日 1986年1月20日
Published Date 1986/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204201
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腎盂と尿管の移行上皮細胞癌は稀な疾患であり,標準的治療法は尿管口周囲の膀胱壁の切除を含めた全腎・尿管切除術である。近年は保存的手術を推奨する論文が出ており,殊に下部尿管腫瘍に対してはそうである。これらの腫瘍の大部分は悪性度が低いし,膀胱腫瘍と比べると,生物学的性状がまつたく違うのである。この種の腫瘍が高頻度に再発するのは尿管を切除した部位より低いので,下位で尿管を切除して再移植した場合には,腫瘍の再発の可能性はほとんどないのである。
筆者らの経験例は下部尿管腫瘍の3例と腎盂腫瘍と膀胱腫瘍とが同時にあつた1例である。前記例のすべてにおいてその腫瘍は,普通そうであるように,ステージもグレードも共に低かつたし,それらのすべては,手術後3ないし5年後の今日,局所にも膀胱にも再発をみていない。これらの腫瘍は恐らく発見も早かつたのでグレードが低かつたものと思われた。
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