Japanese
English
講座 新しい栄養療法
IV.経腸的高カロリー栄養法
Enteral Hyperalimentation
渕上 忠彦
1
Tadahiko Fuchigami
1
1松山赤十字病院消化器科
1Gastroenterology Unit, Matsuyama Red Cross Hospital
pp.282-285
発行日 1986年4月20日
Published Date 1986/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204250
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はじめに
1968年,Dudrickら1)が静脈栄養のみにて人間が正常な発育を遂げることを報告して以来,完全静脈栄養(total parenteral nutrition;TPN,intra-venous hyperalimentation;IVH)は,腸管を安静に保つたまま(complete bowel rest)高カロリーの熱量投与が可能となり従来の輸液の概念を変える画期的な栄養療法となつた。ほぼ時を同じくして,経腸栄養法としての成分栄養(elemental diet;ED)が完成した。EDの開発は,Roseら2)による人間のアミノ酸の必要量の研究に端を発し,1970年にWinitzら3)により数週間を超えるEDの使用でも人間は正常の生理学的,心理学的状態を保つことが確認され完成した。EDはすべての構成成分が化学的に明確で(chemically defineddiet),しかも消化過程を必要とせず吸収される成分よりなる栄養剤である。EDは消化過程が不要であるので消化液,腸液の分泌,腸管の刺激作用が少なく腸管は比較的安静の状態(partial bowelrest)に保たれ,しかも高カロリーの熱量投与が可能(enteral hyperalimentation)である。したがつて,完全静脈栄養(TPN)とほぼ同じ目的で使用される。
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