小さな工夫
難治性出血性膀胱炎の止血法
原 徹
1
,
宮下 厚
1
1三楽病院泌尿器科
pp.1118
発行日 1982年12月20日
Published Date 1982/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203472
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Cyclophosphamideや放射線治療による出血性膀胱炎の止血法にはformalin,硝酸銀などの膀胱内注入,vasopressin,steroidの投与や膀胱灌流などの保存的方法の他に,尿路変更,内腸骨動脈結紮ないしemboliza-tion,TUCなど種々の方法が行われているが実際には困難を伴うことが多い。われわれはHolsteinら1)のcon-domによる水圧療法に工夫を加え良好な結果を得たので報告する。
症例は53歳女性,多発性骨髄腫にてcyclophosphamideを含む化学療法中に膀胱出血を来した。肉眼的血尿出現後4日目に凝血塊による膀胱タンポナーデを来し,このため尿流確保および尿の膀胱粘膜への接触を回避するため両側尿管カテーテルを留置,ついで図のごとくFoley catheterにcondomを2重に装着し,その表面にadre-nalinを加えたXylocaine jellyを塗布し膀胱内に挿入,生食200mlでcondomを満たし留置した。この状態でカテーテル周囲からの血流および尿の洩れはほとんど認められなかつた。患者は意識明瞭であったが多少の尿意を訴えたのみでさしたる苦痛を伴わなかつた。この圧迫止血法は12時間で解除したが,その後も肉眼的血尿は認められなかつた。
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