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特集 小児の皮膚泌尿器科疾患
小児出血性膀胱炎
CYSTITIS HAEMORRHAGICA IN CHILDREN
田村 一
1
,
仲 貞男
1
,
坂本 武彦
1
,
池田 直昭
1
Hajime TAMURA
1
,
Sadao NAKA
1
,
Takehiko SAKAMOTO
1
,
Naoaki IKEDA
1
1慶応義塾大学医学部泌尿器科
1Department of Urology, School of Medicine Keio University.
pp.1301-1304
発行日 1957年12月16日
Published Date 1957/12/16
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202149
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まえがき
小児出血性膀胱炎と題したが,この表題をみて直ちに小野沢の特発性急性出血性小児膀胱炎を想起するものが多いと思う。昭和7年に小野沢が特発性急性出血性小児膀胱炎の統計的観察を発表し,その緒言に於て「本疾患の命名は著者によりて異なれり,即ち関氏は特発性膀胱出血,木村氏は血尿性尿意頻数症,浅見氏は一種の小児血尿症なる名称の下に報告せるも余は其の性状経過等より特発性急性出血性小児膀胱炎なる名称を採用して他の日常吾人の遭遇する膀胱炎より区別せり」と述べた。これに対し久保山は小野沢の命名は合理的であるが,「余は簡単に急性出血性膀胱炎又は感冒性膀胱炎と称し若し16歳以下ならば之に小児なる字を冠せんと欲す」と大体に於いて賛意を表した。然し岩下等は特発性出血性型を画然と一般型から区別することには賛成し難いことを述べ,「寧ろ我々の見解を以てすれば,かかる年輩児に於ける非細菌性急性膀胱炎は,程度の差こそあれ総て小野沢等の云う特発性出血性型の特徴を具備していると云つた方が至当であると思う」との見解を発表した。特に当時はかかる疾患は殆んど小児に限られて多く見られ而も欧米にはその発表を見ない等のことが,可成強く信ぜられていたので,恰かも新しい一疾患の如く解されて,種々学会の問題となつたものである。
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