小さな工夫
膀胱瘻造設術による持続灌流式前立腺切除術
奥村 哲
1
,
阿部 裕行
1
,
西村 泰司
1
1日本医科大学泌尿器科学教室
pp.1175
発行日 1982年12月20日
Published Date 1982/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203485
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近年高周波電流の応用と,内視鏡レンズ,切除鏡の発達に伴い,前立腺肥大症の患者の手術療法の主体は,開腹的前立腺摘除術から経尿道的前立腺切除術(TURP)に変わつてきたといえる。また,各社から種々の切除鏡が市販され,持続灌流式の切除鏡も試用されている。
われわれの施設でも約700例のTURPを経験し,持続灌流装置のない切除鏡と持続灌流装置のある切除鏡とを試したが,それぞれ一長一短がある。前者の欠点としてはワーキング・エレメントを断続的に抜去する必要があり,これを怠るとTUR症候群を来しやすく,また膀胱容量に近くなると視界が悪くなり,萎縮膀胱の患者においては頻回の抜去が必要となり,ワーキング・エレメントを再装着後オリエンテーションをつけなおさなくてはならない。一方,後者の欠点としては外筒の径が太くなり挿入不能なケースもあり得る。灌流液が外筒の先端から出てまた戻るという流れであるから,前立腺切除片の膀胱への押し込みが円滑でなく,灌流用の排液口が前立腺切除片で閉塞されることもあり,気泡も視野を妨げやすく,かつ膀胱後壁が膀胱頸部へ近づいてくる。そこで,イングラム・トロッカーカテーテル5670-16(第1図)の試用をお勧めしたい。
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