--------------------
出血性膀胱炎の治驗
富川 梁次
1
,
江本 侃一
1
1九州大學醫學部泌尿器科教室
pp.187-190
発行日 1953年4月1日
Published Date 1953/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200940
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
まえがき
アレルギー性疾患に對するAntihistamin製劑として強力ミノフアーゲンCの實驗的臨床的研究の成果が多數の諸家により報告されている。本品は抱合體グルクロン酸(Glycyrrhizine)を主成分とし,この還元作用に兼ねて解毒作用を狙つてGlycineおよびGlucose-Cysteinを配したSu-lfhydryl化合物である。SH化合物が解毒作用をもつということは以前からいわれているが,平出によればその解毒作用はSH系酵素の一つであるCholinesteraseと關係がありといわれ,もし生體内の毒素にょりCholinesteraseが減弱すると,Acetylcholineの加水分解が障碍されて,これが體内に蓄積して迷走神經緊張を惹起するので,これにSH化合物を與えれば組織液内のSHは増加し,從つてCholinesteraseが賦活されて解毒作用が發現されて來ると説かれているが,細胞内外のSH基の役割についての實驗的説明はまだはつきりしていないようである。
以上述べた如く強力ネオミノファーグンCの生體内の解毒消炎作用,又毒素による神經の炎症失調に有效に働くといわれ(森平),臨床的にもかなり多數の報告があるが,泌尿器科的領域においては土屋の膀胱炎についての效果の報告以外には見當らないようである。
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.