文献抄録
Estramustine Phosphateによる前立腺癌治療
pp.394
発行日 1976年5月20日
Published Date 1976/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202152
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抗男性ホルモン療法の無効例では既にaniline mustard, cyclophos-phamide, mithamycinなどによる報告はあるが,副作用が極めて強い。最近著者らはEstramustine Phos-phate(Estracyt)により良好な治療効果を得て報告している。
症例は38名の進行前立腺癌で,期待生存はいずれも1年以内の症例である。Estracytを300〜450mg静脈毎日投与か,600mg毎日経口投与した。投与後の成績については有効例としては自他覚的症状の改善のみられたもので,体重増加,疼痛緩解,尿道カテーテル抜去可能,ヘモグロビン増加,酸フォスファターゼ活性減少,クレオチニン値低下などを目安とし,また転移巣は50%以上X線で縮少したものとした。以上の判定規準で38例中36例に有効となり,転移巣では3例の肺転移が縮少,10例の軟組織転移,3例の骨転移巣が軽快した。また27例中25例の酸フォスファターゼ値の上昇が回復した。また治療患者の延命効果も顕著で多くは数年生存している。副作用も極めて少なく,投与中止で回復する。顕著な副作用としては8名に胃腸障害が発現し4名は治療を中止した。従来女性ホルモン療法は前立腺癌に著効を呈するが,しかし20%の症例はホルモン治療に抵抗する。Estracytはこれらの症例にも有効である。
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