文献抄録
術後腎残存結石のHemiacidrinによる溶解
pp.240
発行日 1976年3月20日
Published Date 1976/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202128
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腎盂切石術後感染病巣に結石片の残存があると結石は急速に増大するので,腎結石手術では完全な結石の除去が必要であるが,外科的には必ずしも完全に除去できないことがある。1959年Mulvaneyは10%he-miacidrinを用いて,局所注入法で結石溶解につき報告しているが,著者らは14例の腎石手術の結石残存患者に,腎瘻設置して同薬剤の腎盂内持続注入による結石溶解成績とその注意点につき報告している。
腎石手術結石残存の14例(15腎)中レ線上結石残存を認めたのは9腎で,他の6腎は腎盂鏡を手術時に用いてRaudall's plaqueを認めたものでいずれも腎瘻を設置した。尿感染については11例が緑膿菌,2例は人腸菌感染を認めた。手術摘出結石の成分分析では,9例は燐酸アンモニウム,マグネシウム,2例は燐酸カルシウム,1例は両者の混合石,2例は蓚酸カルシウム結石であつた。薬剤の持続注入は腎瘻管より行なうが,注入前の準備として,まず抗生物質2剤以上を持続注入して尿感染をなくし,尿培養陰性にして,次の生食水を120ml/hrの速度で24時間注入,生食の腎外漏出や脊部痛のおこらないことを確認した後に初めてhemiacidrinを生食水と同様の速度で点滴注入する。治療された残存腎結石20の部位は,16腎が腎杯石で4結石は実質内にあつた。
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