Japanese
English
綜説
前立腺の生理
Physiology of Prostate
島崎 淳
1
,
古谷 信雄
1
,
志田 圭三
1
Jun Shimazaki
1
1群馬大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, School of Medicine, Gunma University
pp.15-27
発行日 1973年1月20日
Published Date 1973/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201543
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緒言
雄性副性器は精子を輸送する管腔と共にいくつかの腺組織を有している。発生学的にウォルフ氏管由来の精嚢やampullary glandsと,泌尿生殖洞や尿道からできた前立腺および球尿道腺とに区別できるが,いずれもtubulo-alveolarの腺構造である。前立腺を含めて副性器の外観は哺乳動物間で差が著しく,ヒトと動物間の臓器名のみでの対比は無理である。更に機能を比較する場合にはその差が大きくなるので,副性器の研究には比較動物学の知識が必要である。第1図はヒト,牛,ウサギ,ラットの副性器であるが1),外観がおのおの特徴あるのがわかる。横線は果糖を分泌しているところを示しているが,種属による差が理解されよう。
ヒトの前立腺は成人ではクルミ大で尿道をかこんでいる。Lowsleyの教科書2)でみるように5つの原基より発生して来るが,生下時以降では分葉はみられず,組織学的にも区別できない。しかし,Huggins and Webster3)はStilbestrolを投与すると前方の腺は退行変性を来すが,後方の腺はよく形態を保ちエオジン染色性顆粒の分泌があることから,前立腺二葉説を立てた。
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