文献抄録
末期前立腺癌の放射線治療
pp.1081
発行日 1972年12月20日
Published Date 1972/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201503
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前立腺癌の大部分は根治的手術の不可能な症例であるために,除睾術と女性ホルモン投与のいわゆる抗男性ホルモン治療をすることになるが,癌細胞が女性ホルモン依存性をなくして腫瘍の再増殖のために治療継続に困却することが多い。最近かかる症例に高圧X線照射の効果が見直されて種々報告があるが,著者らは1961年より1970年までに33例の末期前立腺癌に放射線治療を試みてその効果について述べている。治療は6mevの照射装置で毎1000 radsで総計4000から5000 radsを照射する。3分の2は前後方向より,残りは回転照射を施行した。患者24例はstage C,9例はstage Dのものである。33例中6例はなお女性ホルモン投与が行なわれたので放射線効果との判定困難にて27例について観察している。効果については23例に腫瘍の縮少と硬度の変化を認め,うち19例はその効果は顕著であつた。効果発現の時期は2〜3の例は早期に認められたが,大多数は照射終了後数ヵ月にて認められた。また照射前は癌浸潤のために直腸の疼痛,シブリ,二次出血などのあつた5例も照射完了後には症状の消失を認めている。癌浸潤のために膀胱頸部の通過障害の観察された14症例には照射後平均10ヵ月でその改善があつた。
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