Urological Letter・141
Ⅰ.尿道の転移性脊索腫,他
pp.1050
発行日 1972年12月20日
Published Date 1972/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201497
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Nursing homeに入っている78歳の老人で,陰嚢が大きな腫瘤となつた人を診せられた。陰嚢の大きさは15×10×8cmであつた。左側睾丸炎と診断して,抗生物質による治療を行なつたが無効であつた。なお,この患者の既往歴をみると,1969年にL2,L3の腫揚で手術を受けており,血管腫という診断がつけられている。その時の手術は出血がひどく途中でやめられたが,1971年再びL2,L3の手術を大学病院で受けた。この時も腫瘍は完全には切除されなかつた。しかし,その際の診断は脊索腫ということであつた。
この患者を入院させて陰嚢腫瘤を摘出した。一部の膿瘍とともに腫瘍があることも凍結標本からわかつた。なおこの腫瘍は尿道,尿道海綿体,陰茎海綿体にもおよんでいた。腫瘍を完全に切除するためには陰茎の根治的切断が必要であつたであろうが,罹患部の尿道を2cm切除しておいた。尿道カテーテルを挿入し,創を閉じた。
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