文献抄録
腎剔除後の動静脈瘻形成
pp.531
発行日 1967年6月20日
Published Date 1967/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200189
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動静瘻の原因については先天的なものあるいは外傷,手術,動脈硬化などがあげられているがなかんずく,術後に発生する本症は手術手技に原因しているとBlack(1965)等は指摘している。腎剔後の動静脈瘻形成は極めて稀なもので著者は本症の13例を文献的に収集し自験1例を追加してその症状治療について述べている。著者の集めた13例についてその発生原因は術後の感染と腎門血管の結紮法に起因していると考えられ,腎剔後早いものでは5カ月,遅い症例は35年後に本症の診断をうけている。症例の平均年令は50才で若年者は27才最高令者は68才。男子5名女子8名。本症の臨床症状としては循還障害による腹腔内不快感が最も多く次いで心肥大,腹痛,窒素血症,拡張期血圧上昇,血尿等が主なものである。この13例の治療は5例に動静脈の再結紮,4例に動脈瘤嚢の切除2名に腎動脈のみ再結紮が行なわれた。これ等の症例の動静脈瘤は凡て腎門血管の結紮端は存在している。次に著者の経験した症例は30才女性であるが,7年以前(23才時)に左腎鋳型結石のため腎感染と機能廃絶のための腎剔除術を施行された。手術時癒着高度で腎門からの出血高度であり感染も伴つた。術後4年経過して左上腹部に激痛を訴えるようになり,該部に触診にて膊動を感ずる。
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