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手術的にはsubfrortal (trans—cranial)到達法,transnasal osteo—plastic法,transaxtroethmoidal.法,transethmoidal法などがあり,アイソトープ挿入にY90, Au198,ラドン等のtranscranial法,transnalsal法,transethmoidal法などがある。transnasal, transethmoidalにアイソトープ挿入はよい方法ではない。乳癌に対する下垂体剔除をはじめたOlivecrona (1952)はsub—frontal法で入つた。著者らもこの方法に従つている。全麻。右前頭より開頭,前頭葉をおこし前頭蓋窩から離し視束交叉を露呈,槽より髄液を吸引。クラーレを用い呼吸を調節し呼吸周期に陰圧をつくる方法を用いているが,他の術者のやるような髄液誘導・尿素静注・低温低圧などを必要としない。視東部の凹みの蜘網膜をひらき下垂体柄に鞍横隔膜を露出。柄切離。ここからは教滴出血するにすぎない。横隔膜をひらき,工夫して作つたdissectorで鞍内から下垂体をかきだす。一塊としてとれることも,破片となつてとれることもある。残部は吸引して全部とりだす。海綿洞から出血したらgel—foamでとめる。 Zenker液を下垂体陥凹に2〜3分ひたし残存実質を破壊する。柄再生を防ぐため陥凹にアクリル板を挿入,開頭する。コーチゾン投与はもちろんで,第1週で維持量25mgとする。2-3週後,甲状腺エキス60-200mg投与。血清コレステロル350mg以下におさえる。てんかん予防にphenobarbitone30mg。本法は正中線に対し20度の角度で右から入り,下垂体陥凹の前右壁が直視できないという批判があろう。しかし合併症がなければ第2日は起床,7-10日で退院できる。乳腺・皮膚・腺・骨・肺の転移にもつともよく奏効し,脳・肝の転移にはそうでないことが多い。自験119例,術後2週以内死亡3,2-4週内死亡6,最長の軽快持続6年8月,最長生存8年。手術で実質のとり残しは1/10量ほどあるらしいが,"機能的"には"完全"剔除である。はじめの30例中6例に視力障害がおこつたが,その後にはない。6例に硬膜外血腫をつくつたが,手術的に除去し障害を残さず。海綿洞損傷9例,いずれも完全に止血しえた。2週以内に多飲多尿が起こり,普通3ヵ月で消失した。後葉エキスのスナフで治療した。後葉を必要としたのは49例のみ。嗅覚脱失は22例にみられたが,永久的な消失は2例のみ。髄液漏は1例,これは手術的に処置し成功。髄液炎なし。手術不成功は頭蓋内動脈瘤が突きだしていて下垂体を除去しえなかつた1例のみ。
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