Japanese
English
手術手技
再生力を利用した膀胱補填再建術
RECONSTRUCTION OF THE URINARY BLADDER UTILIZING THE REGENERATIVE POWER
辻 一郎
1
,
折笠 精一
1
,
石田 初一
2
,
古田 桂二
2
Ichiro TSUJI
1
,
Seiichi ORIKASA
1
,
Hatsuichi ISHIDA
2
,
Keiji FURUTA
2
1北海道大学医学部泌尿器科教室
2旭川厚生病院泌尿器科
1Department of Urology, School of Medicine, Hokkaido University
2Department of Urology, Asahikawa Kosei Hospital
pp.523-531
発行日 1967年6月20日
Published Date 1967/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200188
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我々の教室では数年来,広範囲の膀胱欠損部を腸管を用いないで補填再建する研究を行なつてきた。我々はFolsom, Richardson, Bohne等のように専ら膀胱の再生能のみに頼るのではなく,何等かの補填材料を用いて最初しばらくの間,容量の確保と尿洩防止を計つているうちに,補填材料をよりどころとして尿路組織の再生が速かかつ確実に起こつて粘膜のみならず充分な筋層をも有する新たな膀胱壁ができ上ることを期待したわけで,自家新鮮組織(筋膜,腹膜),死滅・加工組織(フォルマリン保存膀胱,OMS膜)および人工的材料(ポリエチレン板,テトロン膜,ゼラチンスポンジ,にかわ板)等の各種材料について検討してきた。これらの詳細は既に藤枝,白石,葛西,折笠により報告されており,辻はその総括を昭和41年度日本泌尿器科学会総会特別講演において発表した。要するに,補填材料の周囲はまず最初炎症性肉芽組織により囲まれ,やがて新生肉芽・結合組織が補填部を完全に包んで尿洩を防止する。補填材料自体の運命はいろいろで,自家新鮮組織(筋膜・腹膜)のように全部あるいは一部が新結合織膜中にとりこまれるものもあれば,また死滅加工組織(保存膀胱・OMS膜)や人工的材料(プラスチック板,テトロン膜)のように必らず一定期間後肉芽結合織膜より離れて膀胱内に脱落するものもあり,あるいはゼラチンスポンジのように自然に吸収・溶解排除されるものもある。
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