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[1]はじめに
わが国で,1962年(昭和37年)に国民皆保険が開始されて今年で満50年となる。昨年は,日本医師会による医療政策シンポジウム『国民皆保険50周年~その未来に向けて』など,さまざまな記念行事が各地で行われた1)。この国民皆保険という制度が50年前に始まった以前のことを知る国民がほとんどいなくなりつつある現在,国民にとっては,現在の制度は,空気や水と同様に,当たり前に存在するものとなってしまった。一方,この制度を維持するためには年間30兆円以上もの経費がかかる巨大な制度となっている。この医療費は国民が支払う税金と患者が支払う自己負担金にて維持されている2)。
さて,われわれ医師は,4月に医師国家試験に合格すると医師免許証が交付され,医業を行うことが可能となるが,これだけでは保険医療を行うことはできない。所属する医療機関の事務に医師国家試験合格の連絡葉書を預けると,医師本人が知らないうちに所管の保健所へ健康保険医の届け出が提出されているのが現状である。ここで重要なことは,後で述べるように保険診療の要点として保険医が保険医療機関においてのみ保険診療が可能であるという点である。つまり,5月中旬に保険医登録証が交付されるまで保険診療をすることは法律に違反することとなる。患者の診察,カルテの閲覧・記載などの医療行為は可能であるが,検査のオーダーや処方箋の交付,保険診療にかかわる侵襲的医療行為は,保険医となるまでは違法となる。初期臨床研修を行う規模の病院は,現在ほとんどが電子カルテを導入しており,医師のID管理により可能な医療行為を管理することは保険医となるまでは制限可能であるが,紙カルテの病院では,初期臨床研修の管理者および初期臨床研修医本人が注意しなければならない重要なポイントである。今回は,初期臨床研修医・泌尿器科専門医を目指す後期臨床研修医や現在保険診療に携わっている現役の泌尿器科専門医にも役立つ保険診療の留意点についてわかりやすく解説する。
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