書評
「イラストレイテッド泌尿器科手術 第2集―図脳で学ぶ手術の秘訣」―加藤晴朗 著
藤岡 知昭
1
1岩手医科大学・泌尿器科学
pp.820
発行日 2011年10月20日
Published Date 2011/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102508
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若い泌尿器科医の皆さまの大部分は,優れた執刀医となることを目標に研修に励んでいると思います。小生もそのような目標を持った1人であり,初老となった今でも手術前には何ともいえない小さな興奮を覚えます。
加藤晴朗著『イラストレイテッド泌尿器科手術 第2集―図脳で学ぶ手術の秘訣』を拝読しました。4年前に出版された同名手術書(今となっては第1集)との出会いと同様に,著者の豊富な経験と出版・絵を描く情熱と努力にただただ感服しました。今回の第2集は,著者の言葉を借りると「甘い蜜に誘われて」「不満足感に対する不満足力」が出版の原動力ということですが,前回以来の基調である「手術は暗記である」という主張が頑固なまでに貫かれ,「図脳」の根幹であるイラスト・絵もより鮮明で力強く描かれており,進化を感じさせられます。すなわち,膜構造の認識による,より正確な解剖が実感できます。また,さりげなく描かれている術者の左手(場面によっては右手),筋鉤や鉗子が手術の流れに重要なアクセントとなっていることが印象的です。さらに,前回の第1集で省略したことが心残りであったとするトラブル・シューティングに関しても,今回はしっかりと記載されて貴重な情報・知恵を提供していますし,多くのコラムからは著者の人柄がにじみ出ています。
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