書評
「イラストレイテッド泌尿器科手術―図脳で覚える術式とチェックポイント」―加藤晴朗 著
木原 和徳
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1東京医科歯科大学大学院泌尿器科学
pp.281
発行日 2008年4月20日
Published Date 2008/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101482
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加藤晴朗先生の『イラストレイテッド泌尿器科手術―図脳で覚える術式とチェックポイント』が刊行された。以前よりご本人から聞いていた加藤先生自身の1,000点以上におよぶイラストで解説した手術書である。本書で言う加藤流の極意は,「手術は暗記」である。「優秀な外科医に求められるものを身につける究極の方法は,暗記である」「くどいようだが,手術は暗記である」。気持ちよく断言している。1人当たりの症例数の少ない日本において,どのようにして優れた執刀医になるか,いつも考え続けた術者が到達した「境地」である。日本とは比較にならないほど多数の膀胱全摘除を経験できるエジプトでの研修体験が大きな基礎となっている。
加藤先生の言う「図脳」とは,図に基づいた頭脳の働きを指しているようである。手術を説明するには(「暗記」してもらうには),図が最優秀との意であろう。本書は泌尿器科の重要手術をほぼ網羅しており,次の項目から構成されている。①膀胱の手術,②泌尿器手術に必要な各種アプローチ,③前立腺手術,④陰茎・陰囊・尿道の手術,⑤女性および小児泌尿器の手術,⑥尿路再建術,付録)マンスーラ~エジプトの泌尿器疾患と手術,である。先生自身の巧みな,解剖をよく理解した,うまい絵で,「美しい手術が優れた手術」という先生の思いを表しながら,代表的な泌尿器科手術の手順と手技のポイントが詳細に解説されている。膀胱の手術には特に力が込められている。ミニマム創手術にも言及がある(感謝)。絵を描くこと自体が手術のトレーニング(加藤流では暗記の訓練)になることを,無言のうちに伝えている。
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