書評
「イラストレイテッド泌尿器科手術―図脳で覚える術式とチェックポイント」―加藤晴朗 著
塚本 泰司
1
1札幌医科大学医学部・泌尿器科学
pp.475
発行日 2008年6月20日
Published Date 2008/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101513
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「音痴」ということばがあるのであれば「画痴」ということばもあるべきであるというのが私の持論です。そして,私は「画痴」です。そんな訳で,この本の書評を依頼された時,はたと困りました。エビデンスがあるかどうか検証してはいませんが,画の上手な人は手術も上手であると,よくいわれます。なるほど,教室でも私と一緒に働いてきた先輩にも,現在働いている後輩にも,このことが当てはまりそうです。しかし,逆は真だろうか? 真であるとすると,そもそも私にはこの本の書評を書く資格はない,ということになります。幸い,この本では「手術は想像力である」と書かれています。画が下手でも想像力があれば手術は上手になれそうです。「画痴」も想像力豊かに思い描いた状況を指で画に表現できないだけのもの,と定義すれば,想像力を駆使すれば「画痴」でも手術は「イケル」ということになります。
など,など,「自分が書評するのにふさわしい泌尿器科医なのか?」と自問自答しながらこの本をめくりました。私がふさわしい人間かどうかは別にして,この本は見ての通りユニークなイラストに溢れ,そのメッセージはストレートです。しかも,加藤先生自身が経験した手術を,文字どおり(というより,ここでは画どおりといったほうが適切かもしれませんが)4コマ漫画ならず多数コマ漫画で表現されています。それは,あたかも私が小・中学生の頃愛読していた「ちば てつや」のキレのあるタッチの漫画(『ちかいの魔球』,『紫電改のタカ』etc.)の1コマ,1コマを思わせます。
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