書評
「イラストレイテッド ミニマム創 内視鏡下泌尿器手術」―木原和徳 著
並木 幹夫
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1金沢大学大学院医学系研究科がん医科学専攻・集学的治療学(泌尿器科学)
pp.785
発行日 2008年9月20日
Published Date 2008/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101570
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ミニマム創内視鏡下泌尿器手術は,木原和徳教授が考案された素晴らしい手術法である。この手術のコンセプトは“安全”で“根治性”に優れ,“低侵襲性”で,かつ“経済的”な手術である。泌尿器科領域で同じ低侵襲性を特長とする腹腔鏡下手術も急速に普及してきたが,経験の浅い泌尿器科医にとっては修得に時間を要する。特に難易度の高い腹腔鏡下前立腺全摘術は,厳しい施設認定があるため普及が遅れている。
一方,ミニマム創内視鏡下泌尿器手術は従来の開放手術の経験を生かせるため,learning curveが腹腔鏡下手術より早いと予想される。また,緊急事態にも迅速に対応できるため安全性が高く,広汎な普及が期待されている。しかし,実際にこの手術を開始するには,使用する器具の購入,手術操作の学習・訓練など準備しなくてはならない事項は多い。ところが,そのためのいわゆるガイドブックやビデオなどは必ずしも多くない。こうした理由で,ミニマム創内視鏡下泌尿器手術に関心はあっても,実際に導入できていない泌尿器科医は多いと想像される。このような状況下で,今回上梓された木原和徳教授著『イラストレイテッド ミニマム創 内視鏡下泌尿器手術』は初心者から経験を有する泌尿器科医まで,大変参考になる手術書である。
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