特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅱ 体腔鏡下手術
■後腹膜鏡下腎尿管全摘除術
039 腎動静脈を切断したら腎がうっ血腫脹してきた
納谷 幸男
1
Yukio Naya
1
1帝京大学ちば総合医療センター泌尿器科
pp.115-116
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102285
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Q 後腹膜鏡下腎尿管全摘術を開始した症例。術前のCTでは腎動静脈は各1本であった。腎動脈をヘモロックで切断後,腎静脈をエンドGIAで切断したところ腎がうっ血腫脹してきた。腎の前面,上極はまだ剝離していない。
[1]概 説
腎静脈がうっ血するのは,まだ流入する腎動脈が残存している場合である。そのようなことが起きないようにするためには,術前に腎血管の評価をしっかりと行うことが重要である。現在のCTは1本のX線を多列の検出器で検出するMD-CT(multidetector CT)であり,従来のヘリカルCTに比べ分解能が高く,一度に多くの画像を得ることができるため,造影剤を使用した場合に特に有用であり,それを利用した3D-CT画像にて術前評価を行い,血管に関する情報を得ることが望ましい。Volume renderingによる3D-CTは極めて有用である。
また,動脈をクリッピングして切離した後,静脈をクリップする前に,メリーランド型鉗子,あるいは開窓型のバイポーラ鉗子などで,静脈を圧迫,あるいはゆるく遮断し,うっ血するかしないか確認するのも1つの方法である(図1)。これでうっ血しなければ,安心してクリップを掛けることが可能である。
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