特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅱ 体腔鏡下手術
■腹腔鏡下根治的腎摘除術
032 腎静脈をクランプすると腎が腫脹してきた
石田 勝
1
,
宮嶋 哲
1
Masaru Ishida
1
,
Akira Miyajima
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室
pp.97-98
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102278
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Q 術前の3D-CTで腎動脈は1本と想定して腹腔鏡下根治的腎摘除術を開始した症例。腎動脈を処理した後で腎静脈をクランプしたが,静脈が怒張して腎が腫脹してきた。
[1]概 説
腎動脈を処理したのちに腎静脈をクランプしたところ腎静脈が怒張した場合は,腎動脈本幹の分岐や,腎動脈以外に腎臓に分布する側副動脈の存在を示している。処理されていない動脈の灌流領域やその血流量によっては,それまでに剝離した面からの血液の滲出が増え,良好な術野の確保に支障をきたす場合がある。また,予期せぬ展開により術者・助手らが動揺することで,思わぬ合併症につながる危険性もある。
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