書評
「泌尿器科診療ガイド」―勝岡洋治 編
力石 辰也
1
1聖マリアンナ医科大学・腎泌尿器外科
pp.694
発行日 2011年8月20日
Published Date 2011/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102472
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臨床医であれば誰しも,診療の途中やカンファレンスの時に,最新の情報を調べたり確認したりしたいと思ったことがあるはずである。そのようなときに皆さんはどうしておられるだろうか? 一般には教科書やガイドライン集を外来やカンファレンスルームに常備しておいたり,インターネットへのアクセスが可能なコンピューターを設置したりして対応しているものと思われるが,欲しい情報がすぐに手に入るとは限らないため,イライラした経験をお持ちの方も多いと思う。
このたび刊行された,勝岡洋治先生編集の『泌尿器科診療ガイド』は,このようなイライラを解消してくれる,重宝な1冊である。その特徴は,図表やアルゴリズムが多用されて分かりやすいこと,疾患の概念は簡潔な記述にとどめ,各種ガイドラインに準拠した治療法の説明に重点が置かれていること,そして何よりも最新の情報が収載されていることである。執筆者は第一線で活躍する若手の有力者が多い。例えば腎癌の分子標的治療薬の項目では,現在日本で入手できるスニチニブ・ソラフェニブ・エベロリムス・テムシロリムスの4剤について,どの薬剤を選択するかの目安の図が示されているとともに,主な標的分子・剤形・含有量・用法・用量・減量の方法・副作用が一覧表になっており,大変実践的である。Side memoとして提供されている副作用対策も臨床ですぐに役立つ情報である。
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