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セミナー ここまできたトランスレーショナルリサーチ・6
腎癌に対するインターフェロンα療法の感受性予測
Genetic polymorphism as a marker of interferon-α response in patients with metastatic renal cell carcinoma
伊藤 哲之
1
Noriyuki Ito
1
1西神戸医療センター泌尿器科
キーワード:
感受性
,
インターフェロン
,
遺伝子多型
,
腎癌
Keyword:
感受性
,
インターフェロン
,
遺伝子多型
,
腎癌
pp.1053-1058
発行日 2008年12月20日
Published Date 2008/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101618
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要約:転移性腎細胞癌(RCC)は通常の抗癌剤に抵抗性で,最も効果的であると考えられてきたインターフェロンα(IFN-α)でさえ一部の患者に奏効するに過ぎないため,IFN-α治療が奏効する患者を投与前に識別できる指標(マーカー)をみつけることが必要とされてきた。IFN-αの奏効に関する腎細胞癌患者の遺伝子要因を明らかにするために,候補とした33遺伝子の463 SNP(遺伝子単塩基多型)を75症例(Responder 29例,Non-Responder 46例)タイピングした。その結果,signal transducer and activator 3(STAT3)上のSNPが最も奏効に関連していた。リンパ球細胞株においてSTAT3の発現量がこのSNPにより異なることや,腎癌細胞株においてSTAT3を抑制するとIFN-αの細胞増殖抑制効果が増強されることは,この関連性研究の結果を支持している。本邦でもついに保険適応になる分子標的薬も万能ではないことが昨年から報告されるようになり,IFN-α治療の感受性マーカーとして遺伝子多型を見出すことは,IFN-αと分子標的薬の治療の順序や併用を考えた個別化医療の実践のための大きな1歩となるであろう。
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