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編集後記
大家 基嗣
pp.448
発行日 2008年5月20日
Published Date 2008/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101510
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今月号の「手術手技」は女性の尿失禁に対する手術を掲載しています。泌尿器科診療で遭遇する機会は多いが,手術適応を考慮するとなると,少し二の足を踏む先生も多いのではないでしょうか。必要に迫られているのだが,ちょっととっつきにくい,あるいはとっかかりがないと感じられている先生もいらっしゃるかと存じます。TOTという言葉を耳にするがピンとこない,という先生にぜひご一読いただきたい内容です。
私もTOTという術式名を初めて聞いた時,「随分縁起の悪い名前をつけたものだなあ」という印象を持ちました(理由は本文中に記載されてます)。まず,閉鎖孔を通すというイメージが湧きませんでした。私と同じ印象を持っている先生は,最初に武井実根雄先生の「スリング手術:TVT手術とTOT手術」を読んでください。詳細な記載と豊富な図が掲載されていて,特に図を一挙に眺めることにより,閉鎖孔を体外からと骨盤内からイメージすることができます。穿刺針がスーパーインポーズされている図もあり,すっきりと理解できます。その次に鈴木康之先生のTVT手術の項を読んでいただくと,今度はTVTの穿刺のイメージが明らかになってくると思います。TVTとTOTを比較した図が役立ちます。図7によって,TVTの欠点と呼ばれる合併症の理由が理解できます。武井先生の論文で身についたイメージが,鈴木先生の論文の図9と図10を見ながら本文を読むことによって,TOTの実践へとつながります。TVTの理解には,逆に,鈴木先生の図を見たあとで,武井先生の論文の8つの術中写真を見ていただけると,すみやかに実践につながっていくと思います。
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