- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 診療の概要
両側精巣萎縮をきたす疾患には,さまざまなものが挙げられるが,ここでは主に先天性の疾患を対象に概説する。原因は,主として中枢性(視床下部・下垂体の障害)と,精巣性(精巣障害)に分けられる(表1)。中枢性には,視床下部の異常によるPrader-Willi症候群,Laurence-Moon-Biedl症候群,Kallmann症候群,および種々の下垂体の異常があり,いずれもゴナドトロピンは低値を示す。診断については,思春期年齢を過ぎても二次性徴が発来しないことが契機になるが,出生時から矮小陰茎や,矮小精巣,停留精巣を呈する場合もあり,小児期に発見されることも多い。精巣性には性分化異常(disorders of sex development:DSD),Klinefelter症候群,Noonan症候群,停留精巣などがあり,テストステロン低値~正常値,およびゴナドトロピン高値を示す。
正常の二次性徴の出現年齢は,精巣容積増大が9.5~14歳,陰毛出現が10.5~15歳,変声・ひげ・腋毛の出現が12~16歳といわれる。外陰部身体所見の評価に関しては,人種による正常対照基準値との比較が必須となる。日本人の年齢別の精巣容積については,Matsuoら1),Fujiedaら2)の調査結果があり,生後9歳頃までは容積はほとんど増加せず1~2ml程度で経過するが,9.3歳の時点で90パーセンタイルのラインが3mlに達し,14歳には90パーセンタイルのラインが20ml以上に達する。16歳にて10パーセンタイルを下回るラインは,およそ13mlのところである。精巣容積はorchidometerにより計測するが,超音波断層装置による測定も可能である(図1)。陰茎長についてはFujiedaら3)の既報を参考にする。理学的所見として,外陰部の成熟の程度(精巣,陰茎,恥毛)の評価も重要であるが,これについてはTannerの分類4)(Stage 1~5)がある。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.