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6.内分泌疾患
■性分化異常
【性分化異常】
74.外性器が男児か女児かわからない新生児です。今後の治療方針と対処について教えてください。また,どのように両親に説明すればよいでしょうか。
坂井 清英
1
,
竹本 淳
1
1宮城県立こども病院泌尿器科
pp.254-258
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101455
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1 診療の概要
性分化異常には性染色体異常,性腺発生異常,内性器発生異常,外性器発生異常が含まれる。性染色体の構成は,基本的には男性がXY,女性がXXであり,男性型への性分化には精巣が形成されることが必須である。1990年に,GoodfellowらによりY染色体上から精巣決定遺伝子としての条件を満たすSRY(sex determining region of Y)がクローニングされ1),さらにSRYをXXマウスに導入することにより精巣が形成され,雄型への性の発達がみられると報告されたこと2)は,当時衝撃的なニュースであった。しかし,その後の分子生物学的アプローチを中心とした研究により,WT-1,SOX9,SF-1,DAX-1などの遺伝子が性の決定・分化にかかわることが明らかとなり,SRYが性の決定の絶対的な遺伝子ではないということも明らかになってきた3)。
このような研究成果は,臨床症状からだけでは困難な性分化異常症の確定診断に極めて有用である。しかし,このような研究成果が明らかになる一方,直接臨床の場でprimaryに性別の鑑別が困難な新生児をみた場合,基本的には患児に対して綿密に視診・触診を行うことから始まる。さらに,論理的に必要な諸検査(染色体検査,血液尿生化学,ホルモン負荷試験,画像検査,性腺生検など)を進めていくが,中には生命にかかわる先天性副腎過形成があるため,診断治療が手遅れにならぬよう注意が必要である。
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