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6.内分泌疾患
■性分化異常
【男性不妊症】
76.乏精子症を呈する患者です。対処と処方について教えてください。また,ART時代における薬物療法の今日的意義について教えてください。
今本 敬
1
,
鈴木 啓悦
1
,
市川 智彦
1
1千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学
pp.264-268
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101457
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1 診療の概要
男性不妊症は不妊原因の約半数であるが,その過半数を占める特発性精子形成障害の病因,病態がほとんど不明であることにもより,これまでの男性不妊症の治療成績は決してよいといえるものではなかった。このような状況の中で,近年の補助生殖技術(assisted reproductive technology:ART)の飛躍的な進歩が男性不妊症の治療に大きな変革をもたらした。例えば,前述の特発性精子形成障害症例においても,精巣内精子採取術(testicular sperm extraction:TESE)により精子を少数でも採取できれば,卵細胞質内精子注入法(intracytoplasmic sperm injection:ICSI)を用いることで,受精,ひいては挙児が可能となった。
このように,男性不妊症の診療は大きく様変わりしたが,理想は自然妊娠であり,治療可能か否かを診断し,十分に情報を提供しながら適切な診療を行うことが肝要である。乏精子症の原因が明らかで,それに対する根本的治療法があるものでは,あくまでその適応,効果を検討した後でARTを考えるべきである。
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