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1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【精巣炎】
15.流行性耳下腺炎罹患後,右陰囊の疼痛,腫脹により精巣炎が疑われる患者です。対処と処方について教えてください。
山本 新吾
1
1兵庫医科大学泌尿器科
pp.58-59
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101391
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1 診療の概要
ムンプスウイルスによって発症する流行性耳下腺炎の好初年齢は3~5歳で,約85%が15歳以下の小児にみられるといわれている。ムンプスウイルスは飛沫感染によって伝搬される。潜伏期間は約2~3週間であり,症状はその名のとおり発熱を伴う耳下腺の腫脹を特徴とし,発熱は1~4日,耳下腺腫脹は7~10日続き,その後,自然治癒する。膵炎,卵巣炎,精巣炎,心筋炎,関節炎,甲状腺炎,乳腺炎,腎炎などの合併症を併発することもあり,さらに脳髄膜炎,内耳感染による聴力障害などを引き起こすこともある1~3)。
ムンプス精巣炎は,耳下腺で増殖したムンプスウイルスが血行性に精巣に達して発症すると考えられており,通常,耳下腺炎の4~8日後に発症する。思春期以前にはほとんどみられないが,思春期以降に流行性耳下腺炎に罹患すると約14~35%にムンプス精巣炎が発生し,17~30%は両側性であるといわれている。ムンプス精巣炎に罹患した精巣の約30~50%に萎縮性変化をきたすとの報告もあり1),男性不妊症の原因として重要な疾患の1つである。
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