特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
8.そのほか
【精巣捻転症】
96.陰囊の疼痛,発赤,腫脹で精巣捻転症が疑われる患者です。精巣付属器捻転などとの鑑別および対処について教えて下さい。
村雲 雅志
1
1釧路労災病院泌尿器科
pp.344-346
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100304
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 診療の概要
陰囊部に有痛性腫脹をきたす急性の疾患群を急性陰囊症(acute scrotum)と総称し,手術治療の必要なものと保存的に治療するものに大別する。精巣捻転では早急に手術を行わないと精巣機能を温存できなくなるため,急いで判断する必要がある。鑑別上重要な疾患には精巣・精巣上体付属器捻転,精巣上体炎,精巣腫瘍の出血,鼠径ヘルニア嵌頓,精巣外傷などがある(表1)。
1.精巣捻転症
発症時期は乳児期と思春期に多い。乳児期のものは精巣鞘膜ごと捻転する鞘膜外捻転が多く,精巣鞘膜と周囲組織との接着が未熟なために起こるとされる。思春期以降のものは精巣鞘膜内で精巣や精巣上体に捻転が生じる鞘膜内捻転となり,構造上の問題が原因とされる。早期に血流を再開できなければ精巣機能の回復が望めないだけでなく,精巣を温存しても抗精子抗体の産生によって対側精巣機能も障害される可能性が高いとされる1)。精巣温存の限界は発症からおよそ6時間以内と考えられる2)。しかし不完全捻転例や小児例など,発症時期を特定することが困難なことも多い。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.