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6.内分泌疾患
■副腎・後腹膜の疾患
【クッシング症候群】
71.クッシング症候群の手術を行ったにもかかわらず,症状が改善しない患者です。対処と処方について教えてください。
磯谷 周治
1
,
堀江 重郎
1
1帝京大学医学部泌尿器科
pp.243-245
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101452
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1 診療の概要
クッシング症候群とは,糖質コルチコイド過剰による満月様顔貌,中心性肥満,伸展性皮膚線条などの,いわゆる“クッシング徴候”と,耐糖能異常などの特徴的な臨床像を呈する疾患群である。広義のクッシング症候群の分類と副腎組織学的相違を表1に示す1)。泌尿器科領域で片側の副腎摘除の手術適応となるのは,ACTH非依存性の原発性副腎皮質腺腫,副腎癌などである。一般的に,原発性アルドステロン症と違い,機能性副腎腺腫によるクッシング症候群の副腎摘除手術前後の症状の改善は著明である。血中コルチゾルは急激に低下し,血圧,電解質異常などの臨床症状は急激に改善することが知られている。多くの場合,術後のグルココルチコイドの補充が必須となり,補充なしでは血圧,循環系を維持できない2~4)。したがって,片側の副腎摘除術後にもかかわらず症状が改善しない場合には,通常の片側性の機能性副腎腺腫による一般的なクッシング症候群だけではなく,そのほかに特殊な病態が存在することが考えられる。
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