特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
7 腫瘍
副腎腫瘍
082 クッシング症候群
石戸谷 滋人
1,2
,
海法 康裕
1
,
荒井 陽一
1
1東北大学医学部泌尿器科
2仙台市立病院泌尿器科
pp.238-240
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103151
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 概念・病因
クッシング症候群(Cushing's syndrome:CS)は副腎皮質からの糖質コルチコイド(コルチゾール)が過剰分泌されて種々の臨床症状をきたす病態の総称である。下垂体もしくは下垂体以外からのadrenocorticotropic hormone(ACTH)分泌亢進によるACTH依存性CSと,われわれ泌尿器科医が手術対象とする副腎性(ACTH非依存性)CSとに大別される。男女比は1:3.9と女性に多く,患者の平均年齢は40歳代半ばである1)。クッシング症候群の病因はわかっていない。
サブクリニカルCS(以前はプレクリニカルと呼称)は,副腎偶発腫瘍(インシデンタローマ)の中で,クッシング徴候を有さないがコルチゾールの自律分泌を認める(日内分泌変動消失)タイプである。CSの前段階であるか否か,いまだに結論が出ていない。しかしこの疾患群では高血圧や糖尿病の頻度が明らかに高いことが知られている2)。稀に両側性にコルチゾールを過剰産生するAIMAH(ACTH independent macronodular adrenocortical hyperplasia)という病型が存在する。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.