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2.神経因性膀胱障害と尿失禁
■神経因性膀胱障害
【排尿障害】
35.排尿障害で受診した糖尿病患者です。エコー上多くの残尿を認めます。対処と処方について教えてください。
中平 洋子
1
1埼玉医科大学医学部泌尿器科
pp.120-121
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101412
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1 診療の概要
糖尿病の神経障害(neuropathy)は,網膜症(retinopathy),腎障害(nephropathy)とともに,triopathyといわれ,糖尿病によるADLを低下させる重大な合併症である。糖尿病では,末しょう神経の代謝異常や微小血管障害が原因で,末しょう神経障害が生じる。その主要な病型は糖尿病性ポリニューロパチーであり,軸索の障害が主体である。この糖尿病性ポリニューロパチーは,自律神経・感覚(特に細径神経線維)が障害されることが多い1)。
初期は多尿であるため頻尿となり,中・後期から排尿困難が出現し,徐々に尿意も低下する。膀胱知覚の欠如が潜在性に起こる。排尿間隔が徐々に延び,尿意切迫感を訴えることなく,一日1~2回の排尿回数となる2)。残尿が増え,尿閉や溢流性尿失禁を呈するようになる。腎後性腎不全による急性腎不全を認めることもある。尿意が低下し尿閉となることで膀胱は過伸展を繰り返し,低コンプライアンス膀胱から萎縮膀胱へ変化する。糖尿病末期で,膀胱排尿筋の収縮能は障害されている2)。
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