特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
3.前立腺肥大症
【前立腺肥大症】
49.α1ブロッカーを内服している前立腺肥大症の患者が頻尿を訴えています。残尿はほとんどありません。対処と処方について教えてください。
嘉村 康邦
1
1四谷メディカルキューブ泌尿器科
pp.168-170
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101427
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 診療の概要
一般に60歳以上の男性の下部尿路症状(lower urinary tract symptoms:LUTS)の原因としては,前立腺肥大症(BPH)が最もポピュラーで,かつ,このBPHには排尿筋過活動を伴うことが多いのはよく知られている1)。また,長期の下部尿路閉塞(bladder outlet obstruction:BOO)が,排尿筋過活動を引き起こすこともわかっている。そして,排尿筋過活動は過活動膀胱(over active bladder:OAB)症状を呈する(図1)。ところが,理解を複雑にしているのは,BOOのあるBPH患者の50~75%がOAB症状を呈するものの,BOOがなくてもOAB症状を有する患者がいること,またOAB症状があっても排尿筋過活動のない患者がいるという事実である。BPHがあってBOOを伴い,これにより排尿筋過活動を生じ,頻尿などのOAB症状を起こしている典型例は病態が考えやすいが,そのほかにも,さまざまな原因からOAB症状をきたしているBPH患者がいるわけである。この原因としては,尿路感染症,脳血管障害による神経因性膀胱,多尿,服用薬の副作用などが挙げられる。したがって,BPHにOAB症状を伴う場合は,その原因を評価し適切な診断・治療を行うことが必要である。ここでは,前立腺肥大症と診断して,BPH治療の第一選択薬であり,OAB症状をも改善するとされるα1ブロッカーを投与したが,頻尿の改善が得られないケースの対処法について,薬物療法を主体として解説する。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.